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日本の太陽光発電計画の実現に向けた革新的な資金調達ソリューション

05/01/2022

福島県あづま小富士太陽光発電所向けの革新的な資金調達は、日本における再生可能エネルギープロジェクトのモデルケースとなるか

カナディアン・ソーラーは、2021年4月7日にすでに発表したあづま小富士太陽光発電プロジェクト(発電容量:100メガワット)向けの総額245億円(1億8,500万ユーロ)の資金調達契約を締結しました。同プロジェクトは国内最大級の太陽光発電で、かつカナディアン・ソーラーの日本における旗艦プロジェクトです。さらにこのプロジェクトは、日本のクリーンエネルギー政策を推進するとともに、2011年の東日本大震災で壊滅的な打撃を受けた福島県の地域経済の活性化を目指しており、独創的な資金調達手法を活用しています。

ソシエテ・ジェネラルは、今回のカナディアン・ソーラーによるあづま小富士太陽光発電プロジェクトにマンデーテッド・リード・アレンジャー:MLAとして参画しました。

日本政府は2021年4月に発表した最新のエネルギー基本計画において、2030年までに温室効果ガス(GHG)の排出量を2013年比で46%以上削減するという目標を発表しました。再生可能エネルギーは2030年には総発電量の36~38%を占める予定です1。そのうち、太陽光の比率は15%、風力(主に洋上風力発電)の比率は6%と見込まれています。

しかし、日本では土地利用料が高く、地理的にも太陽光発電施設の選択肢が限られているため、太陽発電計画には多くの課題が伴います。さらに、太陽光発電設備は比較的複雑であるため、多くの場合、多額の資本が必要となる土木工事が不可欠です。しかし、日本で2012年に固定価格買取制度(FiT: Feed-in-Tariff)が導入され、再生可能エネルギーの固定買取価格が保証されたことで、こうした課題が解決しました。FiT制度の導入により、水力以外の再生可能エネルギーの成長率は、2009~2012年の年率9%から、2012~2015年には29%にまで上昇しました2。さらに2022年には、売電価格に「プレミアム」を上乗せする新たな買取制度(FiP: Feed-in-Premium)が導入される予定で、これによって再生可能エネルギーの発電業者が電力を送電事業者へ販売するインセンティブはさらに高まります。

革新的な資金調達手法で資金確保を実現

FiT制度やFiP制度の仕組みは太陽光発電施設の設置を促進する強力な「プル」要因になる一方、建設や試運転をサポートするためには、適切な金融ソリューションが必要となります。

今回のあづま小富士太陽光発電プロジェクトは、長期の発電資産としては珍しく、建設完了から1年後という短期で償還を迎える仕組みになっており、発電所が稼働を開始すれば、資本市場からの資金調達によって負債を解消することができます。2023年にこの太陽光発電所が完成した後は、カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人が発電所を買収する予定で、同法人はその後FiT制度により保証された予測可能なレートで事業収益を受け取ることが期待されています。

ソシエテ・ジェネラルのエネルギー・ファイナンス&アドバイザリー事業部のマネージング・ディレクター、セドリック・シャテルは次のように述べています。「この資金調達モデルは日本のエネルギー転換を促進させる可能性を秘めています。日本特有の課題を解決するための新たな資金調達の選択肢を提供すると同時に、プロジェクトのスポンサーはより広範な資金調達スキームの恩恵を享受できます。これは、グローバルな金融機関や日本の地方金融機関や、商業ローンや機関投資家による資金調達が、こうした革新的な資金調達手法によって、再エネプロジェクトに大きな変化をもたらし得る可能性を示した素晴らしい事例でもあります。」

カナディアン・ソーラーは日本において最大級の太陽光発電デベロッパーであり、2017年にFiT制度が開始されて以降、全ての競争入札においてプロジェクトの落札に成功しています。また、カナディアン・ソーラーは東京株式市場に上場しているカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人の連結企業グループであるカナディアン・ソーラー・グループの親会社でもあり、同投資法人を通じて長期インフラ資産に対する資本市場からの効率的な資金調達手法を提供しています。

カナディアン・ソーラーの会長兼CEOのショーン・クー博士は次のようにコメントしています。「カナディアン・ソーラーは、日本における再生可能エネルギーの普及に向けて、全てのステークホルダーと協力していくことに注力しています。日本特有の事情に合った資金調達を確保することは、日本政府の戦略的な再エネ普及促進制度を活用した太陽光発電プロジェクトの建設フェーズを成功に導くための鍵となります。」

あづま小富士の資金調達における短期の債務期限や資本市場に適した仕組みは、日本では珍しいケースですが、米国では一般的であり、カナディアン・ソーラーとソシエテ・ジェネラルがグローバル市場で培った知見を日本市場においても活用しました。

当グループは2020年、丸紅株式会社の秋田県における140MW規模の洋上風力発電プロジェクトへの資金調達を実施し、日本の再生可能エネルギー市場に参入しました3。そして今回のプロジェクトは、ソシエテ・ジェネラルが初めて日本国内の太陽光発電プロジェクトに資金調達を実施した案件となります。あづま小富士発電所は、これまでの国内の太陽光発電プロジェクトの中でも最大級のものであり、日本のエネルギー転換目標を達成するためにも、また、ひいては福島県の復興にも大きな役割を果たすものと捉えています。

1 https://asia.nikkei.com/Business/Energy/Japan-aims-for-nearly-40-renewable-energy-by-fiscal-2030
2 https://shulman-advisory.com/2020/06/19/fit-fip-and-the-future-of-renewables-in-japan/
3 https://www.societegenerale.asia/jp/newsroom/success-stories/success-stories-details/news/marubeni-harnesses-sun-and-wind-power-lower-carbon-future-asia/