フランス初のLNG燃料供給船「Gas Vitality」配船へ。海運業界がエネルギー転換を加速

20/01/2022

本船は株式会社商船三井の100%子会社Emerald Green Maritime社から、フランスのエネルギー企業トタルエナジーズ(Total Energies)の子会社に長期傭船され、マルセイユ・フォス港を拠点とする予定です。

新たな温室効果ガス削減を促進する代替燃料

国際海事機関(IMO)は温室効果ガス(GHG)排出対策を海運業界の優先課題の一つとしており、海運業界からのGHG排出量を2050年までに50%削減することを目標としています1。海運業界は、2030年までに初の商業的に実現可能なゼロエミッション船を導入することを目的として、水素や電力といったゼロ・カーボン燃料の研究を推進しています2。 

海運会社が迅速に排出量の削減に着手できるように、GHG排出対策の一環として液化天然ガス(LNG)などがエネルギー転換期の移行燃料として導入されます。移行燃料は、超低硫黄燃料油と比較して大気への負荷が大幅に低く、CO2排出量の削減に貢献するため、その利用は海運業界がネットゼロを実現する上で大きな第一歩となります。

歴史的プロジェクト

本船「Gas Vitality」は、フランスで初めて配船されるLNG燃料供給船であり、世界有数の海運会社である株式会社商船三井(以下、「商船三井」)が所有する船舶です。また、フランスに本社を置くエネルギー企業のトタルエナジーズ社の関連会社に長期傭船され、南フランスのマルセイユ・フォス港を拠点とします。全長135メートル、全幅24メートルの本船は、GTT Mark IIIメンブレン型貯蔵タンクにLNGを最大18,600m3積載することが可能です。本船により、トタルエナジーズ社はフランスの運輸会社CMA CGM社の運搬船腹量15,000TEUの新型コンテナ船や、欧州を拠点とするMSC クルーズ社のLNG燃料クルーズ船に燃料を供給する予定です。

「トランジション・フレームワーク」に基づく「サステナビリティ・リンク・ローン」第1号

ソシエテ・ジェネラルは、商船三井の包括的な気候変動への取り組みと国際ローン市場協会(LMA)が策定した「サステナビリティ・リンク・ローン原則」4 に基づき、「トランジション・フレームワーク」を商船三井と共同で策定しました。 

商船三井は「商船三井グループ環境ビジョン2.1」5 を策定し、国際海事機関のGHG削減目標に先行して2050年までにネットゼロ・エミッションの達成を目指しています。ソシエテ・ジェネラルは、「商船三井グループ環境ビジョン2.1」に規定された温暖化対策の取り組みを活用し、国際資本市場協会(ICMA)の「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」とLMAの「サステナビリティ・リンク・ローン原則」に基づき、トランジション・ローンのフレームワークの開発で商船三井を支援しました。 

サステナビリティ・リンク・ローンは、主要業績評価指標(KPI)に応じてローンのマージンが変動するメカニズムが設定されています。商船三井の擁する船隊の「エネルギー効率運航指標(EEOI:Energy Efficiency Operational Indicator)」の平均を主要業績評価指標(KPI)として年単位で評価し、世界の平均気温の上昇を産業革命以前の水準から2℃未満に抑えるというパリ協定の目標との整合を図ります。 

この革新的なローンの仕組みは、外部の評価機関であるDNVビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社により、特に「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」と「サステナビリティ・リンク・ローン原則」に基づいてその適格性が評価されています7

ソシエテ・ジェネラル、海運業界のエネルギー転換を支援

ソシエテ・ジェネラルのLNG船舶・オフショア・ファイナンス部門責任者のピエール・カラサス(Pierre Carassus)は次のようにコメントしています。「本ローンは2つの重要なポイントがあります。商船三井の欧州における重要なLNG燃料供給プロジェクトの実現を支援するとともに、海運業界の脱炭素化に直接貢献するというものです。また、商船三井のエネルギー転換戦略に基づく初めてのトランジション・リンク・ローンであり、同社船隊の炭素効率を向上させるインセンティブとなる持続可能性とリンクした特徴も備えています。」

商船三井(英国)の100%子会社であるMOL (EUROPE AFRICA) Ltd.の財務・経理担当ディレクターである川勝欣生氏は次のようにコメントしています。「現時点で100%クリーンな船舶用燃料はありませんが、移行燃料として、LNGは海運業界の将来のゼロ・カーボン化への橋渡しをする重要な役割を果たすものと確信しています。ソシエテ・ジェネラルと協力し、海運業界の脱炭素化に貢献できるものと考えています。」

本ローンは、海運業界におけるエネルギー転換の資金調達を主導するソシエテ・ジェネラルの取り組みの一環です。2021年に組成したClimate Bond Initiative社が認証した海運業界初のグリーン・ローンもその一つです。

ソシエテ ジェネラルは、船舶燃料としてLNGの普及を推進する、複数業界をまたいだ国際的業界団体であるSEA/LNGの加盟企業でもあり、ゼロ・カーボン技術の開発が進む中で、業界の脱炭素化を支援する当面のソリューションとしてLNGの利用を推進しています。


1. https://www.imo.org/en/MediaCentre/HotTopics/Pages/Reducing-greenhouse-gas-emissions-from-ships.aspx
2. https://www.globalmaritimeforum.org/news/climate-commitments-decarbonizing-shipping-starts-with-action
3. https://www.lma.eu.com/application/files/6816/2668/7155/Sustainability_Linked_Loan_Principles._V09.pdf
4. https://www.mol.co.jp/en/pr/2021/21096.html

5. https://mol.disclosure.site/en/themes/101?_ga=2.141272562.1505155792.1637889513-1632232258.1615885188
6. https://www.icmagroup.org/sustainable-finance/the-principles-guidelines-and-handbooks/climate-transition-finance-handbook/

7. https://www.dnv.jp/Images/EN_MOL_Transition_SLL_SPO_2021Oct26_publish_rev1_tcm29-210699.pdf

Image source: MOL