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日本:エネルギー転換の道を照らす革新的な太陽光発電プロジェクト

22/03/2024

バーチャルPPAを活用した太陽光発電プロジェクトは、プロジェクトファイナンスにおける日本初のモデルケースとして期待されています。

日本は、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて1、2030年までに電力の36~38%を再生可能エネルギーで供給するという野心的な目標を掲げています。 エネルギー転換が加速する中、主要エネルギー消費者の需要がクリーン電力の供給拡大にいかに重要な役割を果たせるかを、ある画期的な太陽光発電プロジェクトが明らかにしています。

2023年10月、福岡に本社を置く自然電力株式会社は、愛知県犬山市で建設中の太陽光発電所からの再生可能エネルギーの供給を目指し、米国のテクノロジー企業マイクロソフトと20年間のバーチャルPPA(VPPA)を締結したことを発表しました。日本でデータセンターを運営しているマイクロソフトは、 2025年までに、消費電力の100%を再生可能エネルギー由来にすることを目標としています2。このVPPAは、マイクロソフトが日本で初めて締結した再生可能エネルギーの長期供給契約です3

様々な点で画期的なプロジェクト

マイクロソフトとの契約は、犬山プロジェクトの資金調達の達成に、大きく貢献しました。犬山プロジェクトは、自動車、航空機、機械、電気部品などの製造拠点である愛知県名古屋市の北部に、交流25メガワット/直流31メガワットの太陽光発電所です。さらに、東芝エネルギーシステムズが、犬山プロジェクトで発電された電力を送配電網に接続し、バランシング業務や市場取引業務を提供します。

ソシエテ・ジェネラルは、本プロジェクトにおける資金調達を単独リード・アレンジャー(主幹事銀行)兼ヘッジ提供者兼信用状発行銀行としての役割を担いました。109億円(7,300万米ドル)に上るノンリコースファイナンスは、いくつかの点で画期的な本プロジェクトの開発・建設資金に充当されます。
 
•    再生可能エネルギーの開発、所有、建設および運営を手掛ける自然電力グループにとって、本プロジェクトは、国際的金融機関からプロジェクトファイナンスを受ける日本初のプロジェクトでもあります。
•    本プロジェクトは、非化石証書(NFC)取引のために用いられるVPPAと、バランシングを含む長期の電力販売契約との組み合わせに、ノンリコースのプロジェクトファイナンスが用いられた初めてのケースです。
•    コーポレートPPAを活用した上で、プロジェクトファイナンスが組成された単一の太陽光発電プロジェクトとしては最大規模であり、日本の再生可能エネルギー導入の前進を力強く後押しするものです。
•    本プロジェクトは、日本政府が2022年4月にエネルギー市場の改革に着手して以来、初めてノンリコースのプロジェクトファイナンス契約が成立したケースであり、変化する市場のダイナミクスに柔軟に対応する、ソシエテ・ジェネラルの市場適応力を証明しています。

自然電力の執行役員(投資・戦略担当)であるオリバー・センター氏は「弊社は、クライアント企業の日本、アジア、アメリカにおける脱炭素化を支援するために、PPAプロジェクトにさらに注力し、今回と同様の枠組みを使って、より多くのプロジェクトを実現できると期待しています。 本取引は、日本だけでなく、東南アジアやブラジルのプロジェクトを有する自然電力グループにとって、国際的な事業展開の模範となるでしょう」と述べています。
 
ソシエテ・ジェネラルのエネルギー・プラス・グループ マネージング・ディレクターであるセドリック・シャテルは「自然電力のプロジェクト向けプロジェクトファイナンスを通じて、この画期的なモデルを日本市場に導入できたことを光栄に思います。長期のコーポレートPPAが今後の再生可能エネルギープロジェクトにとって成功の要となることが予想されるため、本枠組みは、長期のプロジェクトファイナンス活用を検討している再生可能エネルギー開発業者にとって、一つのモデルとなりうるでしょう」とコメントしました。

ソシエテ・ジェネラル銀行は、2020年の丸紅による140MWの秋田洋上風力発電事業へのプロジェクトファイナンスを提供して以来、日本におけるその他の革新的なプロジェクトにも積極的に手掛けてきました。自然電力の子会社であるJUWI自然電力株式会社が工事請負業者を担った、2021年のカナディアン・ソーラーによる100MWあづま小富士太陽光発電所への245億円 (1億8,500万ユーロ)のプロジェクトファイナンスもその一つです。今回の取引は、日本の再生可能エネルギープロジェクトにおけるソシエテ・ジェネラルの実績をさらに拡大させ、電力購入を行う一般企業が参画する資金調達の枠組みを確立するものです。

バーチャルPPAは、バーチャルPPA、VPPA、または合成PPAとも呼ばれ、電力と環境価値を切り離し、電力購入者や需要家が環境価値のみを証書で購入できる仕組みである。 

こちらも併せてご覧ください:

丸紅が太陽光と風力を利用してアジアのエネルギー転換に取り組む方法とは 
英語のみ )

グリーンな未来がビジネスチャンスを生みだす 
(著:ソシエテ・ジェネラル 日本におけるグループ・カントリー・ヘッド ブルーノ・ゴソーグ)

1 https://asia.nikkei.com/Business/Energy/Japan-aims-for-nearly-40-renewable-energy-by-fiscal-2030
2 https://news.microsoft.com/europe/features/as-the-world-goes-digital-datacenters-that-make-the-cloud-work-look-to-renewable-energy-sources/   
3 https://www.shizenenergy.net/en/2023/10/13/seg_vppa_microsoft/